著作

お江の方と春日局

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本の内容
三代将軍・徳川家光の生母と乳母、二人の女性の波乱万丈の物語
徳川幕府誕生で大きく揺れ動いていた時代。そんな時代に将軍家に入った二人の女性、お江の方と春日局。三代将軍・家光の生母と乳母になった二人の女性の波乱万丈の人生模様とともに、どのように大奥が誕生し、徳川による平和が生まれたのかを描く。

帯裏(本文より)
乳を与えていた頃は、自分の息子たちと同じように、いや実の息子以上に、慈しんだつもりだった。だが家光は息子たちとは、まるで違う存在に育っていった。
お福は惚れ抜いていたのだ。自分の生涯を捧げて悔いないほどに。わが子を犠牲にしても、かまわないと思えるほどに。
心のどこかで、家光を独占したかった。だれにも取られたくはなかった。家光を愛する女は自分ひとり。家光に愛される女も、自分ひとり。だからこそ、実の母のお江まで、あれほど憎んだのだ。でも、これでよかったのだと、思い切らねばならない。これで、よかったのだと。

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近年メキメキと腕をあげている作者のこと。大河ドラマ関連本を逆手にとって、戦国の世を終焉に導いた二人の思いが憎しみから絆に転じるまでを確かな筆致で活写。☆☆☆☆

新刊展望1月号
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↑(前略)お江の最後の結婚相手は、徳川家康の跡継ぎ、徳川秀忠。秀忠は、いわゆる豪傑ではなく、お江より六歳も下。お江は夫に側室を持たせず、みずから七人もの子を産んだ。その長男であり、後の三代将軍となる家光のために、乳母として雇われたのが、春日局だった。(中略)
しかし乳を与えて育てた家光は、病気がちで内気な子供だった。長じては男色の噂さえあり、女を近づけず、子ができない。お江は、そんな家光を嫌って、次男に将軍家を継がせようとする。一方、春日局は家光擁立に奔走し、子づくりまで画策。
生母と乳母が激しく対立し、その過程で江戸城大奥に、男子禁制というしくみが出来上がっていく。二人とも苦労人だけに、意思が強く、怖い女ではある。だが女の怖さは、女のひたむきさの裏返しだ。お江が二代将軍の御台所として亡くなった後、春日局は老中たちもひれ伏すほどの権力を手にする。それほどの地位に駆け上がりながらも、悩み苦しみ続けた二人。そのドラマチックな生涯を『お江の方と春日局』で読み取っていただければ幸いに思う。
(植松三十里・記)

産経新聞1月15日関西版ogo-sankei

産業新潮2011年5月号
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